思い立って、
ラファエル前派の巨匠、ミレイの展覧会へ行ってきた。
ミレイは学生時代好きな画家であった。
その耽美的で、ときに幻想的な表現は、プログレッシブロックにぞっこんで、ドイツロマン主義文学などに傾倒していた当時の自分にはしっくりくるものがあった。
思春期から大人になるまでの一時期、すっと入ってくる芸術のタイプがあるような気がする。ギュスターブ・モローや、ラファエル前派の画家達など、また、サルバドール・ダリなんかはそういう芸術のタイプなんだと思う。
その後イタリアに行き、イタリア・ルネッサンスに触れてからは、この画家達の事は何時しか忘れていった。
今回、改めてミレイの作品を見るとその技術的レベルの高さに目を見張る。
私のなかでは、美術史上、恐ろしく『うまい』画家が何人かいる。
彼は間違いなくその中の一人。
美術展自体は堪能したが、久しぶりに、耽美主義的だった学生時代の自分を思い出し、少し恥ずかしくなった。