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2009年 07月 07日
デジタルカメラと銀塩カメラ
デジタル一眼レフを最初に手にして、APS-Cサイズのその井戸の底を覗き込むようなファインダーを見続けた結果、デジタルと銀塩カメラの違いは、このファインダーだな、と思った。

その後、待ちに待ったニコンのフルサイズデジ普及機を手に入れた。
確かにファインダーは少し見やすくなったが、まだなにかが違う。

最新機種のD700をもってしても、ファインダーの見えやすさにおいて30年前のカメラのFEやF3に遠く及ばない言う事は確認できた。
が、そんなことではなく、自分の中でデジタルカメラと銀塩カメラに感じる異質さは強まるばかり。
何かが心の中で引っかかっていて、フィルムをやめられない。



Ikebukuro #1
デジタルカメラと銀塩カメラ_c0120439_1039311.jpg
Canon New F-1 FD50mm f/1.4 Neopan Acros 100




自分で現像をしてみてある事に気がついた。
銀塩機はすぐ画像を確認出来ないから、ある程度手応えのあったショットを、イメージし直して心の中で反芻する時間があるという事。
撮っていて、印象に残ったり、自分の気持ちが被写体とシンクロしたような感じがしたとき、現像が上がってくるまでそのイメージと感情を大切に抱えている、というような。。。
現像時間が長く、もどかしく感じられる時は、多分そのイメージが脳内で大きくふくらんでいる時だ。



Ikebukuro #2
デジタルカメラと銀塩カメラ_c0120439_10394321.jpg
Canon New F-1 FD50mm f/1.4 Neopan Acros 100



そして、上がって来た写真はその心の中のイメージとかけ離れたものであることが多く、そのギャップを埋める事が、写真を勉強する上での訓練だと言えなくもない。
でも、そんなことより、撮ったその瞬間の感情なり、感覚をある一定時間頭のどこかに保持するというそのことがとても重要な気がする。




Ikebukuro #3
デジタルカメラと銀塩カメラ_c0120439_10395473.jpg
Canon New F-1 FD50mm f/1.4 Neopan Acros 100




背面液晶で撮った画像をすぐ確認する事によって、そのとき得た感情、感覚をもう一度脳内でイメージし直して、慎重に味わうということを、デジタルカメラはさせてくれないのである。



(しかし、それがフィルムとデジタルを隔てる決定的な要素ではないことも解っている。うーむ。)

by 08eMezzo | 2009-07-07 11:12 | 機材 | Comments(11)
Commented by A_J_Pacile at 2009-07-07 21:37
こんばんは つきいち009 パチーリです

なかなか面白い考察です
現像から上がってきた写真は大概がイメージどおりじゃないです
まぁもっともデジタルで数打ってもイメージとおりに撮れる事のほうが珍しいですけどね

逆にイメージと違っても「あれ?これも良いかも・・・」なんて偶然もあったりします

より良い写真を撮るためにフィルムを選んでいるわけじゃない僕は、単純に目先を変えたかっただけかもしれません
Commented by 08eMezzo at 2009-07-07 23:59
こんばんはパチーリさん。

腑に落ちないという言葉がありますが、そんな感じです。
利便性や解像度からいったら35mmカメラにおいてはもうデジタルは無敵です。
中判カメラの領域までカバーし始めたそうです。
でも、何かが違うんだよなーデジタル。
と、しばらくはぼやきつついきます。(笑)

確かに目先、かなり変わりますよね、フィルムで撮ると。
飽きっぽい僕も結局はその辺が理由かも。。。。
訪問感謝です。
Commented by arata at 2009-07-08 01:06 x
Gattoさん、とても面白い考えだと思います。
何が違うのか考えること自体にとても意味があると思うのです。
その一方でパチーリさんの発言も見逃せなく、「...単純に目先を変えたかっただけかもしれません」も重大です。
もしこれが本当なら、フィルムばっかりやってると飽きるということになります。それもありそうな気もします。が、
私はフィルムは「一発」「実体」「アート」と捉え始めました。どれもデジタルでやるには少々辛いものがあります。
...また自分のブログでほざいてみます(^^;
Commented by PhotTon at 2009-07-08 02:27
こんばんは!つきいち011、ガットさんの1前のふぉっとんですw
私も、パチーリさん、arataさんと同様この考察に興味津々です。
撮った写真の上がるまでの時間が自身のイマジネーションの培養となっている、、と。
私が思うには、それプラス、
実体として出来上がった写真は撮った瞬間には存在しない
と言うことを頭で理解しているからではないかと思ってみたりします。
回りくどい表現で申し訳ないです。
デジカメなら撮った瞬間に写真は出来上がりです。
RAW撮影でもその暗号をPCやカメラで解読して一つの結果を出すだけです。
フィルムなら、、物理的な現像をしてみないことにはどんな風になっているか(色、アングル、等々)判らない。
そう言った不安&期待がふくらんでいって
お店で現像、もしくは自家現像をして上がってきたフィルムをみて
安心&感動(もしくは落胆、私はコレが多いですw)ずるからでは、、
などと、珍説を投げかけてみたりします。
初投稿での長文駄文、申し訳ないです。
これからも宜しくお願いします!
Commented by ふぉ〜す at 2009-07-08 04:10 x
「確かに」そう言う考察もあると思います。
1カットに対する取り組み自体違いますしね。
フイルムとデジタルの違い
操作の儀式的違いもありますが
私は、今の「腕」をストレートに確認出来るのがフイルムだと思っています。
自分の技術力をフイルムに焼き付けている感じ。
デジタルは、カメラが被写体をコピーしている感じですかね。
Commented by Gatto at 2009-07-08 15:09 x
arata会長こんにちは。

「一発」「実体」「アート」
なるほど。これは確かにデジタルでは厳しい概念ですね。
arata会長がおっしゃる『ダイレクト感』もこの3つの言葉を補足するキーワードになるのでしょう。
別にデジタルを敵視しているわけでなく、この10年くらいの映像を取り巻くデジタル化のスピードを驚嘆しつつ眺め、またその恩恵を十二分に享受しておりますが、フィルムに関してはそれほど簡単に決別出来ない何かがあります。なかなか言葉に説明できないもどかしさがありますが、思いついたら時々書き留めてみようと思います。
arata会長のブログでの辛口のご意見も楽しみにしております。
Commented by Gatto at 2009-07-08 15:10 x
PhotTonさんこんにちは。
ようこそ、いらっしゃいませ。
物理的な現像作業を経て完結する。
なるほど、化学反応、薬品処理というプロセスも入って初めて映像が具体化するということですね。
確かに自家現像まですると、そういうリアルな、物質性みたいなものをより強く感じますね。
数日前、何本か処理した後、もうこりゃ楽勝だな、などといい気になって現像大失敗しました。(笑)
撮ってる時にはそんなこと思いもしないので、このことは示唆的であります。
PhotTonさんも『撮った写真の上がるまでの時間が自身のイマジネーションの培養となっている』とお感じになっておられるようなので、安心いたしました。(僕だけじゃないという意味で)(笑)
Commented by Gatto at 2009-07-08 15:19 x
ふぉ~すさん
こんにちは、いらっしゃいませ。
現在の技術力が如実に出るのがフィルム。
確かに操作の儀式的な違いはありますが、操作するこちらの意識もずいぶん違いますね。フィルムの方が色々考えながら撮っている気がします。
うまい方はかなり具体的に表現したい絵を頭の中でイメージ出来るのでしょうね。
そしてその絵をイメージどおりにフィルムに露光する経験とテクニック。
確かにデジタルカメラでは、あまり考えずに滅多やたらに枚数撮りがちのような気がします。(反省せねば。。)
いやあ、みなさんのご意見は大変参考になりますです。
今後ともよろしくお願い致します。
Commented by NeoN at 2009-07-08 23:39 x
どうも、つきいち013のNeoNです。
最近の「つきいち」のみなさんが感じていることは、全部どこかでつながっているような気がします。
皆さん、写真がもっと上手くなりたいと思っているし、「デジタル」に象徴される今の写真文化に違和感を感じているように思います。
同じような気持ちの人たちがいるってことは、嬉しいですね。ブログがなければ、こういう意見を酌み交わすこともなかったのですから、デジタルも有り難いことです(笑)。
Commented by Gatto at 2009-07-09 01:22 x
NeoNさん。今晩は。
そうなんです、全くその通りなんです。
僕はこれまでデジタル化ということに対して無批判にその恩恵を享受して来ましたが、写真のデジタル化に関しては『あれ、なんとなくへんだな。』という感じが拭えませんでした。
歩いていたら着ているTシャツが釘かなんかに引っかかって急に歩みが止まるような感じです。

大なり小なりそう感じている方がいる、または表現の手段の多様性としてデジタルからフィルムにアプローチしてみるなど、動機は少しずつ違うかもしれませんが、ちょっと引っかかるなあ、と思っている方々がそのコンセプトに反応したという意味でarata会長が『つきいちの会』を立ち上げた意義は大きいと思います。
そして、物理的な時間や距離を超えて、同じような意識が、広大なネット世界のなかでお互いを探し出して、すぐにコミュニュケーションしているすごさ。
これはもうデジタルが人類にもたらした最大の恩恵の一つでしょうね。

あらためて,みなさまとお知り合いになれて光栄です。
その機会を作って頂いた、フィルムを月に1本使うの会には感謝です。
Commented by みんみん at 2010-03-05 10:16 x
皆さん、やはりそうなのですね。30年前のカメラのほうが見えがよい・・・
以前はニコンF2所有でしたが、すきなのはスナップでおよそ見当違いな選択。オリンパス、ニコン、ミノルタと使用した事があるけど、ファインダーの見えは30年前のFE/FMや、Eシリーズ、あるいはXDなどに今時のカメラかなわない。ファインダーのぞくだけでも、これら楽しい・・・
いっその事デジカメ、EVFになってほしい


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